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『アマチュア・スポーツ全般に言えることだが、自主的に活動し、すべてが自己責任、自己負担である。とはいえ競技用の車椅子は特注品で安いものでも数十万は要る。
練習や試合への移動にはマイカーを利用するのが便利だという彼女たち。本来なら宿泊すべき距離の遠征でも、疲れを癒す間もなく日帰りしたこともあるとか。これは節約のためでこんな時、帰途に交通事故に遭わないかというのが杉村監督の心配の種でもある。障害者ゆえの各種優遇措置や福祉サービスを受ける立場にあるが、それを除けばごく一般的な生活者である彼女らにとって、バスケ関連の出費を用立てするのは大変な事だと思う。
なにより社会人メンバーともなると生活の糧を稼がなければならない。必然的に仕事とバスケの両立となる。既婚者の高橋由美の場合は仕事、家庭の両立に加えバスケがある。幸い夫が車椅子バスケ選手で理解があるが、職場では、高橋が全日本の合宿に参加した時までは、車椅子バスケットボール・プレーヤーとしての高橋を理解してもらえなかったようである。
アマチュアとはいえ、パラリンピックに出場した畑野泰子、菅原奈緒子、吉田絵里架のアテネ出場組はトップ・アスリート。だが彼女らを取り巻く環境は苛酷である。日本代表選手であっても、マイナー・スポーツの競技団体からは選手への援助はないに等しい現実で、海外遠征であっても費用はほぼ自己負担である。こうなればパラリンピック出場という目標も、プレーヤーとしての実力のほかに資力も必要とするのである。これが日本のアマチュアのトップ・アスリートの常識なのだろうか。だから生活のため、バスケをやるために働くのは至極当然として彼女たちは受け止めている。
なかでも菅原の場合は、職場の関係で夜遅くまで残業をすることもあるという。四年後の北京大会出場を目指すためには、今以上にバスケットに打ち込める環境に身を置きたいという願望もあり、そのジレンマにさいなまれることがあるという。
彼女たちは、嵩む出費の苦労よりバスケが好きという気持ちがかろうじて勝っているから、バスケが続けられているのだろう。』
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